年収500万円を稼ぐためにはどれくらい働けばいい?営業マンと飲食店で徹底比較
他記事で年収500万円を余裕で稼げる職業を紹介しましたが、勿論日本にいる大多数のサラリーマンは医師や弁護士、公認会計士ではなく、さらには日本を代表する巨大企業に勤めていません。
さらに、専門スキルを保有していること自体が珍しいことを考えると、扱う商材は異なれど零細~中堅企業で勤務する営業マンが大半を占めます。
また、同じように、飲食業界という同業他社が非常に多い飲食店で働く正社員の割合も多いのが現状です。
正社員・中堅という基準を設けてみる
両者を比較する為に、正社員・中堅という基準を設けてみましょう。
特に営業マンであれば、不動産を扱うのか、それとも薄利多売の商品を扱うのかで話が変わってきますので、薄利多売の飲食店に基準を合わせる形で「薄利多売の商品を販売する、中堅企業の正社員」と定義します。
商品のイメージとしては、競合の激しいBtoCを手掛けるメーカーであったり、広告代理店です。
給与体系にインセンティブが組み込まれているけど、そのインセンティブによって給料が劇的に上下することもないといったラインです。
薄利多売の商品を販売する中堅企業の正社員の場合
20代後半で基本給25万、ボーナス3ヶ月分と考えた場合、年収は25万×15ヶ月=375万になります。営業成績が非常に良く、社内の上位2割の成績であると考えても、扱っている商品が薄利多売であることからボーナスが1ヶ月分増えるということは考えられないでしょう。
人事評価が良くなる程度と考えても良いかもしれません。その為、一般的な営業成績しか出せていない20代後半正社員では400万円に届くか届かないかというラインです。
年収500万に到達する為には、中堅企業であれば整備されていると考えたい出世コースにある程度乗らなければならないかもしれません(中堅企業であれば、インセンティブ給料があまりなくても、そもそもリーダークラスや課長補佐の立ち位置になることにより、基本給が上がることを期待できます)。
ボーナス3ヶ月分という数値が出世しても変わらず、基本給のみが変わるシステムとした場合、500万円÷15ヶ月≒34万円を毎月基本給として頂戴する必要があります。
薄利多売の中堅企業の場合、基本給34万円というのは結構な額面であり、35歳前後にならないとその額面には達しないのではないでしょうか。つまり、営業マンで年収500万円を稼ぐのは、結構ハードルが高いことが分かります。
中堅の飲食チェーン店で働く正社員の場合
飲食チェーン店で提供される食事の原価率は3割程度です。
つまり、1,000円のメニューを注文した場合、その食材の原価だけで300円掛かっているという計算です。売上1,000円の粗利700円という数値がはじき出せます。
仮に1時間で売上1,000円のメニューが10品売れた場合、粗利は7,000円になる為、この数値だけを見ると利益が出やすく稼げるのではないか、と錯覚してしまうかもしれません。
しかし、この粗利から人件費・光熱費・家賃諸々の業務を経営していくにあたり発生する費用を差し引き、その差し引いて残った数値こそが新の利益として企業の留保に繋がっていくのです。
上記を考慮すると、1時間で売上1,000円のメニューが10品売れた場合、人件費として4,000円くらいを考えれば良いです。1時間で4,000円を人件費として考えることが出来れば非常に余裕がありそうですが、その飲食店に4人が勤務している場合、1人あたり1,000円、つまり時給1,000円の労働となります。少し話を戻して、年収500万円を稼ぐ場合に求めらる時給は500万円÷12ヶ月÷20日÷8時間÷2,600円となります。
つまり、年収500万円を稼ぐ為の時給には程遠い数値が現実的な数値として算出されることが分かります。また、飲食業界というのは想像を絶する形で競合が多い為、サービス残業・長時間労働が当たり前ということを考えると、働けば働く程年収500万円に近付くというわけでもありません。
サービス残業・長時間労働を続けないと、時給1,000円を保つのも難しいという状況ですらあり、むしろ確実に時給が発生するアルバイトの方が効率的に稼げるという結論を下すことができます。
飲食業界で年収500万円を稼ぐ為には、働くという行為を頑張るよりも、飲食業界の中でもより大手の上場している会社に転職するということに対して努力をした方が良いかもしれません。
まとめ
少々辛辣になってしまいましたが、年収500万円を稼ぐということは、その努力を投入場所を誤ってしまうと、どれだけ努力をしても達成できないという厳しい数値でもあります。
年収500万円を稼ぐという目的において、営業マンと飲食店の比較に関しては、圧倒的に営業マンに分がありますし、今後覆ることはないでしょう。
覆るとしたら、原価300円の材料で、4,000円の料理を提供し、顧客がそれに対して満足して、1日に数えきれない程販売できたときでしょう。
年収500万円を稼ぐ為には、現実を直視し、本当に意味のあることにのみ貴重な労力を投下しましょう。