経営者は情に流されるな

社員を細やかに観察しながら、経営をする森川氏。
駄目になってしまった会社の話を聞くと、その原因は経営者が情に流されてしまったことが原因だという。

プロフィール

森川亮

C Channel株式会社 代表取締役社長

神奈川県出身
1989年 筑波大学卒 日本テレビ、ソニーに勤務
2003年 ハンゲームジャパン(後のNHN Japan。現LINE)に入社
2007年 代表取役社長就任
2015年 同社代表取締役社長退任、C Channel株式会社を設立

 

日本中の誰もが知っているツールを作った会社の経営者

C Channelとは女性向けの情報サイトアプリであり、動画を投稿する機能などを有する。
メイクやショッピングなどの女性向けの情報を手軽に入手できるアプリやウェブで月間再生数は2.5億ビューに達しているという。

しかし、男性も含めてC Channelにはなじみがない人も大勢いるだろう。
また、その会社の代表である森川氏の事についてもそれほど知らないかもしれない。
だが、こう言えば、おそらく誰もが首を縦に振るだろう。
この会社C Channelを設立した森川氏は、誰もが知るあの有名アプリLINEを作った会社の代表取締役だった人である。

ジョイント・ベンチャーを立ち上げたのが、きっかけ

大学を卒業した後、日本テレビを経てソニーに入社した森川氏。
起業を学ぶきっかけになったのはソニーでジョイント・ベンチャーを立ち上げたことだった。キャリアの中では、途中から経営に参画することもあったが、これがゼロから起業を立ち上げた最初の経験だったという。

 

その後、ハンゲーム(現:LINE社)に入社。
売上を2億円から80億円にまで伸ばした。
会社はその成長の過程で、いくつもの選択に迫られる。
森川氏が言うには、会社が成長するのは最初のビジネスモデルが当たったからだが、それも3年ほどで失速してしまうという。
現在のLINE社も、もともとはカジュアルゲーム、NAVERまとめ、などを主軸にしてきたが、状況の変化によって、スマホに注力することを決めた。
過去の経験から、コミュニケーションで利益を上げてきたので、そのためのツールを作ろうとしてできたのが、LINEであったそうだ。

既存事業と新規事業のはざまで

しかし、LINEを新規事業として立ち上げたが、売り上げはまだゼロだった。
既存事業の社員の中には、自分たちの儲けをそんなところにつっこむのか、と否定的な態度をとるものもいたという。
その中で、LINEはある程度、社内で隠しながら開発をすすめ、やがて現在のような姿にまで成長する。
その成長の過程で、社内の花形が新規事業にうつっていくと、既存事業を行っていた社員は複雑である。
しかし、そこは「えいや」とやってしまうことも必要だという。

 

大切なのは、今の価値がいつまで続いて、その次の価値がどのようになるのか、ということだと森川氏は語る。
そのためだったら、成功体験と一緒に既存事業の中にある思いも、えいやっと割り切ってしまう、そういう情に流されない態度が大切なのかもしれない。
新規事業は赤子のようなもので、しっかり見ていないとすぐに病気にかかったりしてダメになってしまうが、それでもある程度したら、距離を置くようにしていると語る。

参考:

https://recruit.cchan.tv
https://signifiant.jp/articles/akiramorikawa-president-2/