私事を捨てて、公に立て

「私事を捨てて、公に立て」とは勝海舟の言葉だそうだが、大滝氏はそれを貫き、自分に不利な場合でも間違っていると思ったことははっきりと口にしてきたという。

プロフィール

大滝 浩右

メンテックカンザイ代表取締役社長

1940年 静岡県生
慶応義塾大学法学部を卒
三共株式会社に入社し、営業の第一線で活躍する
1993年 父親である先代社長の後を継ぎ、株式会社メンテックカンザイ代表取締役社長に就任。

 

ビルメンテナンスに付加価値を

ビルメンテナンス業界では、競合他社が多く、またどこのサービスもそれほど大差ないために、値下げ競争が行われている。
その中で、自社独自で開発した技術を使い、サービスの付加価値を高めることで業績を伸ばす企業が、大滝氏が代表を務めるメンテックカンザイ株式会社だ。

 

ドアノブやエレベーターのボタンなどから接触感染するウィルスなどを不活性化する「ドリームワン工法」や、たばこの煙を分解する「光エネルギー発生装置」、床滑りによる転倒を防止する「ノンスリップマスター工法」などが特に評価が高いという。

52歳までは製薬会社で

もともと大滝氏は52歳まで製薬会社に勤めていた。
大学時代から、間違っていると思ったことは言い方を考えながら、はっきりと話す性格だった。

就職面接のときも、面接官に同調するのが安全なやり過ごし方だろうが、そこでもはっきりと自分の意見を述べる姿勢を認められ、いくつかの企業から自社に来てほしいと言われたこともあったという。

 

製薬会社に入った後は、営業の仕事をつづけながら経験を積むが、ある時、売り上げがどうしても足りない時代に陥った。
上司の指示は、「値段を下げてもいいからもっとバラまけ」だったという。
しかし、長期的な視点で見た場合、今、その薬を市場に安価にばらまくのは市場が混乱するのを察した大滝氏は、そこで上司に反論、そして大げんかに発展したという。
その時は、自分の営業目標の不足で上司に叱責されるよりも、もっと大切なものがあるはずだ、という気持ちが根底にあったそうだ。

父の後を継いで

その後、父の後を継いでメンテックカンザイの代表になった大滝氏だが、そこには葛藤があったという。
今の製薬会社での仕事にもやりがいを感じていたので、一年間、悩んだそうだ。
しかし、仕事の本質は営業もビルメンテナンスも一緒だと気づいて、会社を継ぐ決意をする。

 

現在は、ビルメンテナンスを主軸に住環境の改善などを行っているが、今後は農薬を使わない微生物を使った新しい農業を進めていきたいと語る。
70歳を超えてからも精力的に働くが、やはりそこには世の中をよくしたいという気持ちがあるという。
社会を変えたい、世の中を良くしたいと思うからこそ、いろんな発想やアイデアが生まれてくる。そして、だからこそ仕事に飽きがこないという。

 

お金儲けが目的では、事業は続かないと語る大滝氏は、自分にでさえ、NOと言ってくれる人材を頼もしいと感じるという。
参考:http://www.nippon-shacho.com/interview/in_mentec-k/3/
http://www.mentec-k.co.jp/svs.html