30代で起業するには?ポイントと注意点
昨今は、まさに起業ブームであり、「大学在学中に起業して、バイアウトすることによりExitした」「社会人を数か月経験して、事業内容を考えずに起業の為に退職をしてしまった」という例も全く珍しいものではなくなっています。
5年程前は、「スタートアップ」という単語を耳にすることは全くありませんでしたが、最近はメガバンクをはじめとしたお堅い大企業でも、FinTechやIOTに対するスタートアップ支援を積極的に行っている等、ビジネスにおける環境が劇的に変化しています。
独立精神が旺盛であるバリバリなサラリーマンが、ルーチンワークが大半を占める社会人生活に飽きて独立を考える頃が30代ではないでしょうか。サラリーマンとして結果を出しているにも関わらず、すぐに評価されて収入が向上しない状況が、さらに独立精神を煽るのです。
起業する為のポイントは?
個人事業主なのか、それとも株式会社を設立するのか、という点で一概には言えないのですが、基本的には「ヒト」「モノ」「カネ」がポイントになります。
「ヒト」に関して、まず一緒に事業を支えていく仲間を探すにも一苦労しますし、クライアントを探すことを常日頃考えなければなりません。
サラリーマンが、背負っている企業ブランドにより企業の事業を伸ばしていくのに対して、独立後は「その人自身」により営業をすることになりますので、数万の売上を立てることすら苦労します。
その為、独立を考えているサラリーマンは、企業のブランドに頼らずに、数万でも良いので売上を立てることが出来るかということを試すべきです。「副業している時間がない」「企業規定の為、副業が禁止」という意見があるかと思いますが、そのような縛りを気にする人が起業で成功する程、世の中は甘くありません。
「モノ」に関して、これを設備や商材(サービス)に例えると、「カネ」にも関わるところですが、やはりクライアントを社内に案内出来る程度の設備を整える為には多くの出費を伴いますし、モノを買うという初期費用に加えて、家賃・電気代等のランニングコストも常に考える必要があります。
また、商材(サービス)を仕入れて売る在庫モデルなのか、そもそも在庫を持たない原価無しのコンサルティングをするのか、で事業計画がそもそも大きく異なります。事業計画が曖昧であれば、銀行から資金を借り入れることは困難です。
最もポイントになるのが「カネ」です。特に株式会社として経営をするのであれば、常に「カネ」のことを最大限に考えなくてはなりません。人件費、光熱費etcの費用以外にも、特に経営者は売上金の回収にナイーブになり、夜も眠れぬ生活を強制されます。起業当初は手元に資金が多くない為、大きな仕事を受注することは出来ず、結局クライアントも中小企業を相手にするしかありません。
その為、クライアントが倒産しないかという与信を調査しなければなりませんし、仮に売上金を回収できず、「カネ」の回りが止まってしまうと、すぐに黒字倒産を迎えてしまいます。このような「カネ」に関わるリスクは想像以上に散在している為、最低限の会計・ファイナンス知識は勉強する必要があります。
注意点は?
「ヒト」「モノ」「カネ」の注意点は、数えればキリがありません。あらゆる経営者が、その失敗ぶりを書籍にしていますし、語り尽くすことは不可能でしょう。また、注意点も各経営者の切り口により、千差万別です。
しかし、一部を除いて、9割以上の人が認識している注意点(リスク)としては、「企業の倒産」です。起業=倒産リスクとの闘いと表現しても過言ではありません。
倒産後は、資金が底を尽き、さらには負債にまみれている状況である為、借金の返済若しくは自己破産をしなくてはなりません。借金の返済をする為には、安定的にサラリーマン生活に戻る必要がありますし、そもそも30代で起業をして失敗した後に迎え入れてくれる企業は、多くはないでしょう。メガベンチャーの代表格であるサイバーエージェントやDeNA、楽天等は、起業家精神が豊富な人材で溢れている為、比較的失敗には寛容であり、迎え入れてくれる体制が整っているかもしれません。
しかし、30代のサラリーマンの大半が所属している官僚的な大企業では、一度サラリーマンとしてのレールから外れると、まず受け入れて貰えません。さらに、受け入れられたとしても純血主義が守られ、出世を諦めなくてはなりません。つまり、「起業失敗後に通常の社会人レールに戻れないこと。その為、再び安定的な収入を得ること自体が難しくなる」ということが、極めて大きいリスクなのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。第三者からすると起業という単語は華やかなイメージが先行し、羨ましがられる側面を持っています。しかし、実際は常にリスクとの闘いであり、当事者は心身ともに非常に負担が大きな選択になります。思い切って起業!という気持ちの良い判断が結果として成功に結びつくこともありますが、30代で起業するには、リスクを適切に評価し、それに対処していくようなロジカルな行動をすることが必要です。