年収1,000万以上の生活はどんなもの?
年収1000万円と聞いて、収入が低いと感じる人はあまりいないでしょう。
事実、年収1000万以上の就労者は全体の3%~5%ほどであり、その数はけっして多くありません。
数が少ないということは、裏を返せば、それだけその人たちが優秀であり、高い報酬をもらっているということとも取れます。
しかし、その年収帯の生活はどのようなものになっているのでしょうか。
手取りの額は700~800万円
生活を語るうえで欠かせないのは、可処分所得です。
可処分所得とは、年収から税金などを引いた実際に使えるお金のことです。
聞きなれた言葉に言い換えるならば、手取り、です。
年収1000万円の手取りは細かい計算などがあるため、一概には言えません。
個人の状況によって税金の額が変わってくるのは、働いている方なら十分承知しているはずです。結婚している場合、子供がいる場合、雇用保険の有無などをはじめとしてさまざまなケースがありますので、そこで税金の額なども変わってきます。
よって、ここではざっくりと750万円くらいで話を進めていきましょう。
大体、これくらいが一年間に使えるお金となってきます。
月々の生活は?
では、月々の生活はどのようになるでしょうか。
750万円を12カ月で割ると、ひと月62.5万円となります。こうしてみると、かなり贅沢ができそうに見えますが、これはボーナスもすべて月々の生活費に組み込んだ場合です。
仮にボーナスを4カ月分とするならば、ひと月の収入は約47万円となります。
それでも、まだ一般的な家庭に比べると十分使えるように見えます。
一般的な家庭と比べてみると
それでは、一般的な家庭と年収1000万円の家庭を比較してみましょう。
一般的な家庭の定義も難しいのですが、 厚生労働省が発表した平成27年度『国民生活基礎調査』のデータを見ると、日本の全世帯の平均収入は約546万円でした。
収入帯によっても前後しますが、この辺りだと手取りは0.8掛けをした440万円となります。
年収1000万円の手取りは750万円くらいなので、そこから440万円を差し引きます。
よって年収1000万円の家庭は、一般的な家庭よりも300万円ほど余分に使うことができるということがわかります。
300万円の使い道
年収1000万円の家庭は、一年間に一般家庭よりも300万円ほど多く使えることがわかりました。
300万円あれば、年に数回、海外旅行にもいけます。
車だったら、国産車なら毎年新車に乗り換えることもできるでしょう。
服や時計にお金をかけてもいいですし、外食もおいしい店に通えそうです。
上記のように一時的な消費、つまりたまに贅沢するくらいならば問題はありません。
しかし、家計でも固定費の部分を上げてしまうと生活が苦しくなってしまう場合も出てきてしまいます。
固定費が問題
特に年収が大台にのって、住む場所を変えた場合を考えてみましょう。
例えば、毎月10万円の物件から、20万円の物件に引っ越したとします。
そうなると固定で年間120万円が決まって家計から出てゆきます。
一般家庭より300万円ほどの余分につかえますが、これを差し引くと残りは180万円くらいになります。
ちなみに家賃10万円というのは、年収500万円世帯の平均的な家賃です。
また、家賃20万円というのも、年収1000万円世帯の平均的な家賃と言われています。
さらに子供の教育費などもよく考えたほうが良いでしょう。
例えば、有名私立の小学校などに子供を入れた場合、学費を含めて年間150万円~100万円が必要となってきます。
こうなると二人目の子供は同じ学校に入れられるかどうかという具合になってきます。
全ての生活レベルを上げると苦しくなる
以上、見てきたように家賃や子供の教育費などを差し引くといくらも残らないのがわかると思います。
住むところと子供が通っている学校以外は、ほとんど平均的な生活になっています。
年収1000万円は経済的にはたしかに恵まれた生活を営むことができます。
しかし、生活レベルの全てを上げることはできないのがわかります。
先に説明した通り、旅行に行くことや、車を買うことなど一時的な消費は問題ありません。
生活が苦しくなったら、それをやめればいいだけです。
しかし、今月は苦しいからと言って、家賃の低いところにいきなり引っ越したりはできません。教育費が重くのしかかってくるからと言って、子供を転校させることもできません。
生活を苦しくさせるのは固定費なのです。
実に年収1000万円以上の世帯の面白いデータがふたつあります。
一つは年収1000万円以上の世帯の約10%が貯蓄0だということ。
もう一つは、年収1000万円以上の世帯の約3割が定期的にカードローンを使用しているということです。
他の人よりも報酬をたくさんもらっているため、家計のやりくりは比較的楽なようにも見えますが、実態は支出も多いため苦しい家庭もあるようです。
まとめ
年収1000万以上の生活はどんなもの? ということで見てきました。
確かに平均よりも多くの可処分所得があり、かなり贅沢な暮らしができるのではないか、と思いますが実態はそうでもないようです。
いくら年収1000万円以上でも、生活の全てを一流にするほどではないのがわかります。
一説には本当のお金持ちは年収3000万円からとも言われています。