どうせなら稼げる仕事がしたい。大阪で稼ぐ男は未経験からが多いって本当?
「今よりもたくさん稼ぎたい」「もっとやりがいのある仕事がしたい」業種や職種を替えて新しいフィールドで自分を試したいと思ったら、「未経験歓迎」の業界に目を向けてはどうでしょうか?未経験者が歓迎され、稼げる仕事の業種・職種にはどんなものがあるのでしょうか。今回は、商売の街といわれる「大阪」に絞って、みていきましょう。
「未経験」とは何なのか
求人広告で「未経験者歓迎」「業界未経験者歓迎」という表現を目にすることがあります。こうした表現は具体的にどのような状況を指しているのでしょうか?
「未経験」という言葉は次の4パターンがあると考えられます。
(1)正社員で働いた経験がない
(2)正社員で働いた経験はあるが、その業界・職種ともに経験がない
(3)業界経験はないが職種の経験はある
(4)業界経験はあるが職種の経験はない
「未経験者」という表現は(1)(2)を指します。こうした人材がほしい理由は、将来性を見込み、“会社の色”がついていない人を育てたいからです。新卒採用と同様の研修・教育を受けることも多いでしょう。(3)に当たる人は「業界未経験者」。たとえば、メーカーの営業職募集に、不動産販売会社の営業経験を持つ人が応募するといったケースです。
業界の慣習などは入社後勉強してもらう必要はあるが、営業職に必要な基本的なスキルは身についているため、即戦力になると期待されます。(4)に当たる人は「職種未経験者」になります。流通の事務職に就いている人が、同じく流通の営業職を希望している場合などがこの事例です。業界での知識があるため、専門用語などを一から教える必要がなく、仕事を覚えるにも時間がかからないと見られています。
大阪で稼げる業種は何か
転職するなら、稼げる仕事がいいですね。「稼げる仕事」の基準として、「東洋経済」の平均年収ランキングを参考に見てみましょう。
毎年、全国の企業平均年収ランキングを発表していますが、大阪や京都など2府4県に本社を置く企業を対象にした「近畿版ランキング」(2015年)が発表されています。
近畿1位のキーエンスは1648万円。生産設備などに搭載されるセンサーのメーカーです。キーエンスは全国ランキングでもトップクラスに入る「稼げる企業」です。2位は朝日放送の1518万円、3位は伊藤忠商事1395万円。また、老舗医薬品メーカーは大阪に本社を置くものが多く、武田薬品工業(7位)や小野薬品工業(12位)がランクインしています。
このような「稼げる仕事」に就くには、新卒で入らないと難しいのでは…と考えてしまいますが、中途採用も行っています。
求人・転職サイト「DODA」が行った調査(2013年)によると、医療系は「業種経験不問」と求人広告でうたっている割合が高いのです(79%)。医薬品や医療機器のメーカーのほか、ドラッグストアチェーンや介護施設の運営会社などが含まれます。また、実際に業種未経験者が転職した割合の高い業種は、商社・流通系の81%。電気設備や建築資材などさまざまな商材を扱う商社、通販には欠かせない流通業者などが含まれます。
大阪は東京と比べて特に業種に偏りがあったり、地域の傾向があるというわけではありません。大阪に本社を置く企業のほか、東京に本社がある企業の支社クラスに当たる営業拠点があることが多く、大阪で採用活動を行う東京の企業も多いからです。業界未経験からチャレンジできる業種は当然、大阪についてもあてはまります。特に、話題に上がった医薬品メーカーや商社は大阪に本社を置いているものも多くあり、未経験からでも稼げる仕事に就ける可能性は高いといえます。
次は少し見方を変えて、大阪の経済動向から「未経験でもチャレンジできて稼げる仕事」を探ってみましょう。
インバウンドが大阪を救う
大阪は経済の地盤沈下が叫ばれて久しくなります。大阪で創業した老舗企業が東京へ本社企業を移し、人口も減少し、円高から中小企業は不振に陥る…。しかし、大阪を愛する男たちは「そんな街で稼ぐぞ!」という気概で働いています。
もっとも、大阪に不利なことばかりではありません。ニュースなどでも報道されているようにインバウンド需要に沸いています。2016年の公示地価で、大阪の心斎橋が商業地では全国一となる上昇率(45.1%)を記録しました。心斎橋筋商店街は連日、外国人観光客でにぎわっています。キタもミナミも、商業施設や飲食店で外国人観光客を見ない日はありません。
大阪は今、外国人観光客に対応すべくホテルの建設ラッシュを迎えています。ホテルを建設する際、業者は大阪市に届け出ますが、2012年12件、2013年17件、2014年25件と推移していた数字が、2015年には一気に141件に跳ね上がっています。2020年の東京オリンピックごろまでインバウンド需要は続くと見られますが、2015年までのホテル建設計画では、大阪で1万9,000室余りが不足すると予測されています。
また、外国人向けのサービスの充実も課題です。スマホを使った翻訳、観光情報、決済など、さまざまなサービスに対応するビジネスは発展途上です。インバウンドビジネスは飲食、サービス、IT・通信、建設などあらゆる業種を包括する産業に成長する可能性があり、雇用も広がります。インバウンドビジネスで自分のスキルを活かせることはないか、経験の棚卸をするとよいでしょう。
「医療」が大阪を強くする
今、大阪をはじめとする京阪神エリアでは「関西イノベーション国際戦略総合特区」という特区指定を国から受け、産・官・学が一丸になって産業の再生・振興に取り組んでいます。医療品、医療機器、再生医療などの先端医療技術、先制医療、バッテリー、スマートコミュニティの6分野は、いずれも関西の各地域で集積が進んでいる産業です。医薬品医療機器総合機構(薬事審査や医薬品被害の救済などを行う独立行政法人)関西支部が大阪北区のグランフロント大阪に誘致され、医療関連分野の企業集積がさらに進むことが期待されています。
先ほども紹介したように、医療分野は業種未経験からでもチャレンジしやすく「稼げる仕事」のひとつです。
医療機器分野では、大阪の中小企業が持つモノづくりの技術を、医療・介護ロボットなどに転用するための取り組みが行われています。転職先を選ぶとき、こうした動向を頭に入れて企業を探すと、稼げるだけでなく、ワクワクするような新しい事業に関われる仕事に出会えるでしょう。
■まとめ
大阪は未経験から稼ぐ人が多いのか? 挑戦できる素地は整っています。ただ「稼げる仕事」は既存のビジネスのなかだけで見つかるものではありません。これから生まれようとする仕事のなかにも、稼げる仕事は埋もれています。こうした仕事は「経験がある・ない」ではなく、「自分のスキルや経験をどう活かせるか」という観点で向き合うことができるのが魅力です。転職を考えるときには、「大阪経済のトレンド」も頭に入れておくと、いい仕事に巡りあえますよ。